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コイケルの遺伝性疾患について

長野オールドッグ訓練センターの「リンクス」は、「ENMのDNAテスト」の結果、下記証明書の通り「ENM因子」を持っていないことが証明されています。

リンクス証明書

コイケル特有の遺伝病「ENM」(遺伝性壊死性脊髄症 以下ENM)、別名:コイケル麻痺と呼ばれるコイケルの病気が最近になって発見されました。私達がこの病気を知ったのは、リンクスのブリーダーであるオランダのSさんから連絡を受けたからです。

現在ENMについての症例は、日本ではまずないと思われます。そのため治療法もまだありません。治療法がないのは、日本だけではなくコイケルの原産地オランダでも同様です。

ENMは、大体が1歳の誕生日を迎えるまでに発症し、オランダでは2歳になるまでに安楽死をさせる事が多いようです。発症してからの病気の進行はかなり早く、最終的には全身麻痺してしまう怖い病気です。

病気の詳しい症状は、今現在把握できていません。2歳になるまでに安楽死をさせてしまうので、病気の最終段階についても詳細は解っていません。

これまで日本のコイケルで発症した病気は、重症筋無力症、多発性筋炎、血小板減少症、自己免疫性疾患、悪性リンパ腫、自己免疫性溶血性貧血、この他にも様々な病気の症例がありました。現在日本では、多発性筋炎、血小板減少症、重症筋無力症などと同じような遺伝性の病気だという報告は出ていません。しかし、これはまだ報告がないだけであり、今後、多数の症例が報告されるようになれば、遺伝性の可能性も否定できません。

特に症例が多い病気がコイケルに出やすい病気なのかもしれません。

昔、コイケル・ホンディエという犬種は絶滅寸前になってしまった時代がありました。

当時のオランダ王妃の、絶やしたくないという強い意志から、再び数を増やしていき、今日に至っています。

少ない数から頭数を増やすには、当然、近親交配をしなければなりませんでした。そのため、コイケルという犬種は血縁が濃いのです。

血縁が濃いとどういった問題があるのでしょうか?奇形児(生まれつきの骨格形成不全や、内臓疾患、様々な問題を抱えた胎児)が生まれることがあります。また、健康児で生まれたとしても、短命であったり、遺伝性の病気等が後に現れることもあります。コイケルという犬種は、血縁が濃い犬種のため、特別な遺伝病が出てもおかしくはないのです。

人間の場合、近親交配すると奇形が出る確率が高いため、法律で三代以内の結婚は認められていません。そのため、よほどの奇形は出ないと言われています。実は、犬の場合も同じなのです。人間を雑種という分類で考えると、犬の雑種も比較的体は丈夫ということになります。純血であるがゆえに、何らかの遺伝病があるのではないでしょうか。

ところで、犬の病気はどうやって特定されているのでしょうか?それは、人間の病気の症状にあてはめて判断しているのです。よって、人間の病気にあてはまらないもの、今解っている病気以外の病気が、今後発見される可能性は充分にあります。まだデータの少ない犬種のため、何らかの原因で様々な病気を併発する可能性もあるかもしれません。

私ども長野オールドッグ訓練センターは、多くの情報を集め、健康でないコイケルを生み出さないよう、今後も研究していきたいと思っています。このサイトで情報を提供していきますが、皆様からもお育ていただいているコイケルの情報を、お寄せいただきましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

ENMのDNAテストについて(オランダ犬種協会webサイトより日本語訳)PDFファイル

文責:長野オールドッグ訓練センター 元動物看護士 宮田理沙

協力:おくはらどうぶつ病院 獣医師 府金芳拓先生